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独自のレンタカー

新しいデザインができると前のものは古いといって新しいものを買わせるところにデザインの効果がある。 工場においても研究が続けられる根源が生まれる。
この点が日本の工場ではおき忘れられているのではないかと思われる。 実用品なら実用品丁点ばく長くもつということは非常に結構なことであるが、錦上花をそえて長くもつというよりもよい品物をつくるという方向に向けねばならない。
そして新しいアイデアを入れることによって、前にもっていたものを古くさせて購買力をそそる。 現在のアメリカの自動車の売り方はまさしくその通りである。
エンジニアと職人との差はなんであるか、職人は1つのことを何回でもやる。 エンジニアは一つのものを手がけたら二次的、三次的なアイデアを働かせてその上に積み重ねていくのがエンジニアである。
ただ単に学校を出たからといって職人と技術屋とに区別するのは不見識もはなはだしいといわなければならない。 二次元、三次元にもっていってアイデアを働かせる創意発明をする人が技術屋である。
未来を打ち立てるために過去は必要であるが歴史は二度と使うものでない。 二度と使ったものは発明でも創意工夫でも進歩でもない。
われわれの工場では物をつくる技術も大切であるがその上に切りかえ技術もより以上に必要である。 ところが日本人は非常に下手であって、何に原因しているかというと、長年のあいだ同じものをつくつていて、切りかえ技術をあまくやったことがないからである。
いくらいいデザインでも切りかえ技術が悪いと時期を逸して無駄になくアイデアも工場の切りかえ技術がうまくないと問題を生じてくる。 工場で旋盤を使って鉄板を削るということは、いかにして多くの切り粉を出すかということであるが、またいかにして切屑を出さずに生産の能率を上げるかということも考えてみたい。

生産能率を計るのにいままでよりストップ・ウォッチを使用して何時閏で何本できるから能率的だという。 これも能率であるかもしれないが、そこに時間というものが流れている。
限られた時間内に仕事をするのであるから削り方はいいか、悪い点はないか、おおよその寸法をとってマイクロメーターで計って大略を掴んでから、ストップ・ウォッチを使うのなら話がわかる。 はじめからいろいろなやり方があるのにストップ・ウォッチでいきなり計り、能率的だとか不能率的だとかいうことほど不能率なことはない。
平気で行なわれているというのが現状である。 ストップ・ウォッチで計ったら図面をつくつて改革するのでなく、その場で即座に改革する必要があるにもかかわらず、日本の技術者は図面を書かないと技術者でないような錯覚に陥って、図面を書くことによってよりできたと考える。
とんでもない誤りであり、ことに大工場にこの傾向が強い。 それより理論的に考えてこことここが悪いとわかったら、すぐその場で改良し、悪い面が見えなくなってからストップ・ウォッチで計るなり、図面を書くというようにすべきである。
わが社のドリーム号とベンリー号のモデルチェンジのことをお話しすると、浜松の工場で人間が三十人と機械が三十六台足りないという報告がきたので、私は調べてみた結果、そういう必要がないからもう一度計画を立て直せといってやったら、再調査した結果人間はいらないが機械が十台欲しいという報告がきた。 さらに、まだまだ駄目だ、もう少し調べて来い、ストップ・ウォッチで計らなくともアイデアを入れて考えてみよといってやく、いままでどういうような考え方でプランを立てたのか開いてみると、いままでこういうものをつくるのにこういう工程を通ってきたのだから、今度の計画はこれだから、こういう工程を通ってこれだけ増えるからこうなるという。
私は同じ工程で生産することよと一歩進めていままでこういう工程を通ってこういうふうにやっていたけど、こういう工程もあるのだからこうやったらどうだといってやった結果、機械はいらない。 人間は三十人ほど余くますといってきた。
そうして私が見に行ったら十台機械が余っていたが、いままでの工程をそのままやるという既成観念にとらわれて仕事をしているが、その考え方を改めない限り進歩しないと思う。 われわれの最も必要なものは金でもなければ機械でもない。
いちばん必要なものは各人の考え方を直すことが最も大切である。 合理化といっても自分の考え方を改めなければなんにもならない。

工場のいちばん大切なことはアイデアであとアイデアとは人間のことである。 もう一つ、戦前に原価計算をする際に一割五分のマージンをもらうのだといって、自分の製作した製品の金額について1割五分をかけたものが売値だと思っていたが、現在ではそういうことは許されない。
値段というものは需要と供給によって決められるべきものでぁって製作側の一方的な値段で決められるものでなくもし一方的に決めたなら、世の中の人からかならず離脱していかなければならない運命をたどる結果となる。 戦前の考え方は能率を悪くして、
割五分かけるのだから能率を悪くしてつくったほうが得であく儲けが多くなったような矛盾があった。 故に値段は需要と供給からくるものであって、原価計算とは関係がない。
しからば原価計算がなぜ必要かというと工場を合理的に運営する役割をする必要性から原価計算は必要である。 ところがいくらでつくつたのだからいくらの値段だと、T方的に決めることははなはだ危険なことである。
あくまでも原価計算は工場のバロメーターであり、需要と供給で決まる値段と原価計算との差があればあるほど儲かることになる。 この点統制経済をやって来た人間は間違いやすい。
お客さんの買ってくれる値段のワク内で生産し生活していかなければならないのに、いくらかかったから買ってくれと一方的に値段をしるようではだめだ。 工場というものは、商人のようにいままで百円で売っていたものを二百円で売らなければ儲からないといって二百円にするわけにはいかない。

材料が上がったからといってすぐに上げるようなことをせずに、その製品にアイデアというものを入れ、新しい製品として売り出す。 だから技術も製品も変わらないというなら材料が騰貴しただけ上がるのである。
それで原料が上がったからといってすぐに値段を上げることをせずに、技術というものでその製品をカバーしていく。 材料費、電力費が上がったからといって値段をすぐに上げるというのでは人間が一つも進歩していない。
進歩していればこれくらいカバーできるはずである。 金勘定だけが儲けではなく、信用など目に見えないものも儲けである。
私がアメリカに行ったときによほど立派なことをやっているのではないかと思っていたがアメリカの自動車工業は日本のインダストリーで考えられないほど大きいものであってフォード、シボレーなどからトヨタ、ニッサンを見た場合に非常にケタ違いで相手にならない。 われわれが知っている工作機メーカーとか有名な工場を見たときに感じたことは、何も新しいことをやっておらず、われわれ日本人が知っていることをすなおにやっているだけである。
日本人はこうやるといいという理屈のみを知っていて実行しない。 アメリカ人は実に自分の知っていることはすべて即座に実行しているので、やるとこれだけ儲かると計算して実行している。

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